ドアを開ければ 静けさが待つ 違う匂いに 足が止まる テーブルの上の 置き手紙 「探さないで」 小さな文字 心がざわめく 夕陽は逃げる カーテンの隙間で時が止まった 帰る場所が 空っぽになる 誰がいたのか もう分からない 心当たりない 温もりの跡 この部屋も 何かが違う 扉の音に さっかくする 君がまだいるようで 欠けたマグカップ 指が触れ 冷えた時間が 落ちていく 記憶の闇に目を閉じる 気づかぬふりの中誰かが笑う 繰り返す影 君を追えば いない君を ただ探して 僅かな違和感 心を蝕む 君の手がここに触れたのか 見知らぬ靴がそこにある 「探さないで」と書いた君は誰? 君がいた場所は幻で 気配の主さえ知らないまま 壊れた日常の隙間から 見えない視線が笑っている ドアを開けても ここにいるのは ただ僕一人 夜が告げる